まとめ:設計1件あたりの本当のコストは、デザイナーの負担込み時間単価に、そのケースが実際に消費する時間を掛け、1件あたりに配賦したソフトウェアとハードウェアを足し、手戻りのコストを足したものです。多くのラボは最初の項だけを数えます。だから社内設計は、実際よりも紙の上で安く見えるのです。
なぜ外注の数字はこれほど見えやすいのか
外注設計は1顎あたりの価格が書かれた請求書として届きます。社内設計は給与として支払われ、これは物量が動いても動かない固定の月額です。一方は読み取れる単価です。もう一方は計算しなければならず、たいてい計算されていません。
この非対称性が、多くのラボの判断を静かに歪めます。ラボの経営者は、外部の設計サービスが1顎あたりいくら請求するかをドル単位で言えます。請求書に書いてあるからです。同じ経営者に社内設計1件のコストを尋ねると、たいてい肩をすくめて概算が返ってきます。そしてその概算は、ほぼ必ず低すぎます。
外注の義歯設計の業界相場は1顎あたり最大約40ドルです。これはきれいな数字です。問いは、同じ仕事を自社でやったときにいくらかかるのか、正直に測ったらどうなのかです。
設計1件あたりの本当のコストには何が入るのか
4つの構成要素です。ケースが実際に要する時間分の負担込み人件費、月間物量で配賦したソフトウェアとハードウェア、設計に起因する手戻りと再製作のコスト、そして設計能力が塞がっていたために売れなかった分の機会費用です。
一つずつ見ていきます。
負担込み人件費。給与ではありません。給与に加えて、社会保険料、福利厚生、有給休暇、そしてその職位が消費する管理工数の持ち分です。一般的な目安では負担込みコストは基本給より25パーセントから40パーセント高いと置かれます。自社の実際の乗数は会計担当者から得られます。米国労働統計局は2025年時点で歯科技工士の年収中位値を49,610ドルと報告しており、これは計算の下限であって、熟練CADデザイナーの数字ではありません。
ケースが実際に要する時間。ラボが最も頻繁に誤るのがこの項です。見積りがふつう「ケースを開いて作業台に向かっている時間」になってしまうからです。ここには段取り、ケースを切り替える際の中断コスト、そして何かが戻ってきたときの2周目も含めるべきです。全顎義歯の手作業によるCAD設計は、一般に30分から1時間以上の集中作業を要します。
ソフトウェアとハードウェア、1件あたり。CADの年間ライセンス料、ワークステーションの減価償却、保守契約を合計し、その年に設計したケース数で割ります。物量の少ないラボではこの項は想像より大きくなります。月1,000ケースになると急に小さくなります。
手戻り。戻ってくるケースです。再製作のすべてが設計の不備ではないので帰属は正直に行うべきですが、設計に帰属する手戻りは設計コストに属します。そしてそれは、ほとんど誰のモデルにも現れません。
今週から回せる計算手順
- 典型的だった月を1つ選びます。最も忙しかった月でも、最も暇だった月でもなく。
- その月に完了した全顎義歯の設計件数を数えます。これをVとします。
- 設計に時間を使った全員の負担込みコストを、設計に充てた時間の割合分だけ合計します。これをLとします。
- その月の設計ソフトウェアのライセンス、ワークステーションの減価償却、保守を合計します。これをSとします。
- その月の設計に帰属する再製作と手戻りを数え、材料費とやり直しの人件費で金額化します。これをRとします。
- 設計1件あたりのコストは(L + S + R)÷ Vです。
半年前の月について同じ計算をして比べてください。物量が横ばいなのに数字が上がっているなら、それは採用要請としてではなく残業や手戻りとして表面化している処理能力の問題です。
AI支援設計は計算をどう変えるべきか
変わるのは時間の項で、他の項はほぼそのままです。設計案が約2分で届き、技工士の仕事がゼロから組み立てることではなく確認と承認になるなら、1件あたりの作業分数は下がり、確認の分数は残ります。最初の項だけでなく、両方をモデル化してください。
正直なモデル化の仕方は、時間の項を2つに分けることです。生成時間があり、大幅な削減はそこにあります。そして確認時間があり、これは人が担うもので消えません。確認時間がゼロになると仮定するモデルは、誰も売っていない製品、そしてこの分野では誰も売ることを許されていない製品を描いています。
SmileShapeは、1顎あたり最大約40ドルという外注料率に対して、CAD設計費を最大60パーセント削減しているラボがあると報告しています。それは自社の数字としてではなく、自社の数字と突き合わせて検証すべき主張として扱ってください。意味を持つ比較は、自分で計算したほうです。
答えをどう使うか
- 社内が外注よりかなり安く、デザイナーに余裕がある場合。問題ありません。物量が増えたら再検討してください。
- 社内が外注より安いが、デザイナーが手一杯の場合。本当の制約は単価ではなく処理能力です。選択肢は、採用するか、あふれた分を外注するか、今いるチームに設計能力を足すかです。
- 社内が外注より高い場合。行動する前に理由を突き止めてください。物量が少なく固定費が薄く広がっているのと、手戻りが多いのは別の問題で、対処は正反対です。
- そもそも計算できない場合。それ自体が結論です。まず測定を直してください。以降のあらゆる判断がそれに依存します。
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よくある質問
外注の義歯設計は1顎あたりいくらかかりますか。
全顎義歯の外注設計の業界相場は1顎あたり最大約40ドルです。自社の料率は物量のコミットメントとケースの難易度によって変わります。この計算の中で、請求書からそのまま読み取れる唯一の数字です。
再製作は設計コストに数えるべきですか。
設計に帰属する分だけです。入ってきたスキャンの品質不良や指示書の不備が原因の再製作は、設計ではなく受け入れに属します。これらを混ぜると、実際に手を入れるべき工程がどれなのかが見えなくなります。
全顎義歯の手作業によるCAD設計にはどれくらいかかりますか。
同等のケースで一般に30分から1時間以上の集中作業です。自社の値を測ってください。これを最も大きく動かすのは症例構成です。
AI支援設計は確認の時間をなくしますか。
いいえ。技工士による確認は必須の工程であり、任意の工程ではありません。SmileShapeのワークフローは5段階のうち3段階で、ケースが次に進む前に訓練を受けた技工士の確認と承認を必要とします。確認時間は残るコストとしてモデル化してください。